余白の人生

棚田と雲海

 ←フランス革命 →土用 丑の日
s-DSCN9674 (1)




 朝靄の棚田と雲海


s-DSCN9680.jpg


 20160718 朝の撮影散歩 


夏の早朝の散歩は気持ちがいい。
平地よりも高原の方が見晴らしがよくて涼感にあふれる。
いつものコースで、二つ岳峠を越えて波佐見盆地に出かけた。
峠を越えて長い坂を下りていくと、朝靄で視界を遮る幻想的な光景に出逢う。


s-DSCN9688 (1)


この神秘的な朝靄が、すべての 色即是空 空即是色 を覆い隠し、
不垢不浄の世界を敷衍していくのが、この上ない魅惑的な自然現象だ。

霧の中を行けば覚えざるに衣湿る。
良き人に近づけば覚えざるに良き人となりけるなり。
 『正法眼蔵随聞記』 



s-DSCN9714 (1)


s-DSCN9705.jpg



 『正法眼蔵随聞記』・・・霧の中を行けば

 わたしはこの言葉が好きだ。
 古典の中の師弟の在り方を観察してみた。

 霧を、東洋哲学的に、形而上学的(隠喩的)に、表現したのは、『正法眼蔵随聞記』が印象的で線香臭さを感じない。
 元来、宗教は人間が一番弱点とする無常観、死生観、つまり、現世のはかなさ、不安、恐怖、苦悩、罪悪感、醜さ・・から逃れるための方策を探究した学問の一分野に過ぎない。

 それを金儲けの手段にしたり、現在も、している宗教屋(錬金術師)は資本家、支配者と同様、非凡な才能の持ち主とも言える。  決して歓迎すべきことではないが、世界的にシャーマン、神官、教祖たちが最高の位に立ち、富や権力を恣にしてきた。 

 人間の世界も、蟻や蜂(虫けら)の存在と同様に、自然界の一生物に過ぎない。
 人間だけが、特別の存在である、と錯覚をしたことが欺瞞の根源となっている。

 美しい自然、ことば、行い、にしばし救われるのは人間の特色でもある。
 霧も雪も、目に見える世界が瞬時にして千変万化し、万象改新することを象徴していて、この世が仮想現実、色即是空、空即是色にすぎないことを伝えている。

 しかしながら、平凡な人間(凡夫)はこのことに気づかず、死ぬまで悩み、苦しみ、眼前の刹那の愉しみや歓びに埋没し、美なるものを享受できないまま、無為に過ごしているということだ。


s-DSCN9723.jpg
 

 霧の中を行けば覚えざるに衣湿る


  「ある日、示して言われた。昔の人が言っている。霧の中を歩いていくと、知らないうちに衣が湿っている。善い人に近づくと知らないうちに善い人になるのである。」
 (『正法眼蔵随聞記』5の4)
  

  永年、師匠ともに生活していると、いつ教わりいつ練習したのか分からなくても、次第に身についてくるものである。「お師匠さんにそっくりだ、書の字もお経の声もよく似ている。」などとよく言われるところである。門前の小僧習わぬ経を読む、と広がりを見せる。また、子どもは親の後ろ姿を見て育つと言う。

  善い人に近づき、よい人々に囲まれると、自然とよくなってゆくということが確かにあるわけだが、それまでの先入観に強くとらわれていると、一緒にいてもなかなかよくなってこないということもある。己見(自分勝手な考え)を捨てて、虚心によく聞き、よく見るという心得が大切になってくる。

 頭で理解しようとすると、すぐに自我が「わかった!」というが 、本当は、理屈がわかっただけで、何も身に付いていない。思考でインプットしたものは、またすぐに忘れてしまう。

 「本当の理解」というのは、歩いていくうちに、ゆっくりと夜露で衣が濡れていくように、自分のものとなっていくものだ。「霧と衣湿る」は、善い人とその人の影響力・感化力を象徴している。

 教育環境として、人的環境は最重要な要素であり、心を空しくして、指導者に融け入ることであろう。言わずもがなの自然環境、社会環境を含めて、万物は皆我師である。

 翻って、現代の社会、世界に目を移すと、残念ながら師匠となる、模範となる事物があまりにも少ない。メディアの報道は、国民を総愚民化して、衆愚社会を形成する。これでは、霧がますます深くなるばかりである。

 「よき人に近づけば、覚えざるによき人となりけるなり」 現代は、この道がだんだん遠くなりつつある。



s-DSCN9722 (1)


s-DSCN9713.jpg



スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 
もくじ  3kaku_s_L.png 愛娘 Erika
もくじ  3kaku_s_L.png やきもの
もくじ  3kaku_s_L.png 余白の人生
もくじ  3kaku_s_L.png 忘れえぬ光景
もくじ  3kaku_s_L.png 文学・芸術
もくじ  3kaku_s_L.png 雑学曼陀羅
もくじ  3kaku_s_L.png 時事評論
もくじ  3kaku_s_L.png 教育評論
もくじ  3kaku_s_L.png 書画・骨董
         
フランス革命 ←フランス革命    →土用 丑の日 土用 丑の日

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【フランス革命】へ
  • 【土用 丑の日】へ