忘れえぬ光景

おてもやん

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s おてもやん




 おてもやん


1. おてもやん あんたこの頃 嫁人りしたではないかいな
嫁人りしたこたぁ したぱってん
御亭どんの ぐしゃっぺだるけん
まあだ盃ぁ せんだった
 

2. 村役鳶役肝入りどん あん人たちのおらすけんで
後はどうなっと きゃあなろたい
川端町つぁん きゅあめぐらい
春日南瓜(ぼうぶら)どん達ぁ 尻ひっぴゃぁで花盛り花盛り
(囃)ちーちく ちーちく ひばりの子
   げんばくなすびのいがいがどん
 

3. 一つ山越え も一つ山越え あの山越えて
私ぁあんたに 惚れとるばい
惚れとるばッてん 言はれんたい
おいおい彼岸も 近まれば
若者衆(わきゃもんしゅう)も 寄らすけん
熊本(くまんどん)の 夜聴聞詣(よじゃもんみゃ)りに
ゆるゆる話も きやあしうたい
男振りには惚れんばな 煙草入の
銀金具がそれがそもそも 因縁たい
(囃)あかちゃか べっちゃか ちゃかちゃちゃ

 「新熊本市史 別編 第2巻 民俗・文化財」より

 1.2番の歌詞は少々異なります。口伝いの民謡ですから、歌う人によっても異なるのは当然かもしれませんね。なお、囃(はやし)の「ちーちく ちーちく」の部分は、最近では「ピーチク パーチク」と唄われており、1.2番を一緒に一番としている場合が多いようです。また、歌詞によって「の」「が」等の助詞など、部分的な違いもあります。


 民謡、方言のやはらかさ・奥深さ

 田舎を散歩していて、私より高齢の土地の老人と話をすることがある。
 むかしはよく聞いていた、なつかしい方言が飛び出したとき、なぜか無性に嬉しくなる。


 歌詞とその意味 

 おてもやん あんたこの頃嫁人りしたではないかいな
(おてもさん あなたは 最近結婚したんではないんですか?)
 嫁人りしたこたしたぱってん
(はい、結婚したのはしたのですが)
 ご亭どんがぐしゃっぺだるけん まあだ盃ゃせんだった
(ただ、婿殿が天然痘のあとが残っているので、まだ三々九度の杯はしていません。それとも、「婿殿がブ男だから三々九度の杯はしていません」でも)

 村役(むらやく)鳶役(とびやく)肝(きも)入りどん
(村の役付きさんや火消しの頭や仲人さんなど、いろんな世話人の人たちが)
 あん人達のおらすけんで あとはどうなっときゃあなろたい
(そんな人たちがいらっしゃるので、後はうまくとりなしてくれるでしょう)

 川端町(かわばたまち)つぁんきゃあめぐろい
(川端町のほうにまわって歩きましょう。川端町は春日より繁華街に近い地域)
 春日ほうぶらどんたちゃ 尻ひっぴゃーで 花ざかり花ざかり
(当時、春日はかぼちゃの産地。かぼちゃががその尻(ヘタの反対側)に萎れて裏返しになったような大きな花をくっつけてコロコロ転がっている様子。かぼちゃ男たちが裾を引っ張ったりして、私はモテモテです。私の人生は今が花盛り)

 ピーチクパーチクひばりの子 げんばくなすびのいがいがどん
(春にさえずる雲雀の子のような浮かれっぱなしの男や野暮ったいイガグリ男たちは私の趣味ではないよ。「玄白なすび」とは蘭学者杉田玄白が広めた茄子)




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