余白の人生

モラトリアム老人

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 モラトリアム老人の時代 


  同窓会 友の面影 シワの奥 


わたしもそうであるが、人間は過去の点と点を結びつけ、
どうでもよい自分史を作る作業を無意識のうちに行う。

同窓会に出れば、記憶にある自分とかなり違った自分を古い友人たちは教えてくれる。
定年退職を経て、特に仕事一筋で生きてきたバリバリのサラリーマンや管理職経験者は、かなり大きな心神喪失状態を体験する。

伴侶の女性も、主婦として母親として卒業の時期だから、よけいなお荷物は敬遠される。
その点、女性の方が行動的で、外に出て交際の輪を広げていく遺伝子を内蔵している。。
妻の人生をかえりみなかった場合は、退職と同時に離婚を宣言されることもある。

かっての役職者も辞めてしまえばただの人。

自分の人格ではなくその時の地位に人は頭を下げて、すり寄っていただけのことだ。
勘違いしてはいけない。やめてしまえばだ~れも振り向いてはくれない。

と、割り切り、開き直ればなんでもないことなのだが。

とはいうものの、職種を問わずそれなりの地位で退職した役職者は、
訴訟・補償の法整備が進化した最近では、おちおち枕を高くして眠るわけにはいかない。

政財界の陰謀はもとより、暴力・体罰、いじめ、不当・違法行為など、監督不行届により死者・廃疾者を出した場合など、
十数年前までさかのぼって、管理監督責任を追求され、それ相当の法の裁きを受けねばならない。
当時の対応が、法律、人道、徳義に照らして不適切であれば糾弾され、社会的制裁を受ける。

いつまでも過去の栄光や亡霊に浸っていると、とんでもないことになってしまう。
ひどい場合は鬱病になり、自ら命を絶つ人もいる。

この傾向は、恥と嫉妬の文化を重んじる日本人に特に多いようである。


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 モラトリアムの意味


モラトリアム(moratorium)とは、本来は、支払猶予のことで、天災、恐慌などの際に起こる金融の混乱を抑えるため、手形の決済、預金の払い戻しなどを一時的に猶予する事である。

学生など、社会に出て一人前の人間となる事を猶予されている状態を指す用語になった。心理学者エリク・H・エリクソンによって心理学に導入された概念で、大人になっても社会的義務や責任を先延ばしにしようとする頼りない若者を指すことばであった。

現代では、様相が一変して、退職老人を含めどの世代にも当てはまる。

経済優先の、没個性的な現代の巨大消費社会の中で、モラトリアムは決して病理現象ではない。人は生涯にわたって、自分の生き方を変える権利をもっている。

「若者は、老人は、かくあるべし」と言う、魅力のない硬直化した、現代社会への警鐘として、これまでの脱モラトリアムのあり方もより柔軟になりつつある。

退職後は、あこがれてきた海外旅行、一度乗ってみたかったあの高級車、長年留守にして廃屋同然のふるさとの自宅補修・・・いろいろとあることだろう。
定年前の夢は現実を見ればしぼんでしまう。そういうご時世なのだ。

ただ、年金だけでは食べていけないこの時代に、再就職活動や働く意欲をなくしてしまった人の味方にはならない。
行政批判や責任転嫁ばかりして、税金やおこぼれ支援を期待し自己努力をしないことは、国家の破綻につながる。

「働かざるもの喰うべからず」は、いつの世も変わることはない。
過去の栄光をかなぐり捨てて、なりふり構わず、生き延びるための行動に着手するしかないであろう。

いつ、どこで、お迎えがくるか誰にもわからない。

老人は、マニフェスト(先約)のないバガボン(聖者・さすらい人)なのだ。



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