忘れえぬ光景

モナリザ古稀記念特集

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 モナリザ 古稀祝賀同窓会 

 記念特集




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 賢者の贈物 ー17年前の歳時記よりー 
                     

 今年もクリスマスの季節が来た。私は、東洋文化をこよなく愛する、一応仏教徒であるから世間様が浮かれ騒ぐほどの関心はない。ただ、この日は、おそれ多くもイエス・キリスト様と同じ、ゆめゆめ忘じてはならぬわが家の女房殿降誕の日である。

 私の敬愛してやまない女房殿が五十歳の誕生日を迎えになった。世間様が見られても、その愛くるしい笑顔とシミひとつない肌の瑞々しさ、無邪気で天衣無縫な立ち居振る舞いから到底五十歳には見られない。

 なによりも、普通の女性より顔が小さく、最近は亡き母の自宅介護のために腰痛を患い、その治療のためにスイミングスクールなどに足繁く通われて身体が引き締まり、体重を減量されなくても、そのスタイルをカバーしておられる。実際の歳より十才は若く見られ、同期の方々から年下扱いにされてもにこにこしておられようである。

 私の白髪分布図も歳とともに広がりはしたものの、再婚とまで疑われることもなく、実際は女房殿が三才下でも、十才下に見られるほど、女房殿の不可思議なる若さの御利益のおこぼれに預かっている。

 今年は、誕生日のプレゼントに、五十周年を記念して、ピンクの薔薇の花束を追加してパイロットの万年筆とを贈った。本当はピンクよりも深紅の薔薇を注文したのであるが、なにせ昨夜がクリスマス・イヴで、この時期一番人気の深紅の薔薇は売り切れ、今日の入荷も叶わないということであった。

 女房殿に寄せる私の終身変わらぬ愛情を、情熱という深紅の薔薇の色で、その証しとしたかったのであるが、結果としてピンクになったことは、私の不覚と考えるより、いつまでも激しい情熱を伝えることは、精神的にも体力的にも無理だから、二人きりになった今、歳相応に細く永くピンクムードで生きなさいという天の審判に素直に従っておこう。

 私の生来の分不相応な金遣いのためか、女房殿本来の慎ましい性格によるものか、結婚以来、自分の欲しいものを自分で購入されたことは一度もない。まして、「何々を買って」など口にされたことも記憶にない。人様に対しては、気前よく、手元にあるものはなんでも差し上げてしまうという、誠に欲少なくして気っ風のよい御仁である。

 万年筆にしても、若い時に贈ったパイロットを二十数年も大切に使い、それが数カ月前に長寿を全うしているのに、だれにも言わず、不便な香典返しの使い捨てボールペンで用を済ませておられる。

 母が九十三歳の長命で大往生できたのも、他ならぬこの女房殿の御蔭である。実の娘以上に母に尽くしていただいた。今朝も、仏壇には馨しい花と供物が慎ましく供えてある。母の旅立ちの後、一日として枯れた花を見たことがない。


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九条ネギと黒鯛だけの魚の煮付け、複雑な味付けは素材を生かす日本料理には合わない。生きた車エビの刺身と新酒のどぶろくは最高である。



 西洋の「賢者の贈物」という物語では、

 心の美しい貧しい夫婦がいて、クリスマスのプレゼントの交換のために、妻は美しい髪の毛を売り、夫の懐中時計に似合う鎖を買う。夫は大切にしている懐中時計を売って、妻の美しい髪に似合う飾り櫛を買ってしまうという、哀しくも心のぬくもりを感じるあらすじである。

 我が家では、依然として変わりようのない性分、のんべい、ぐうたらにしてやくざな私に愚痴も言わずに連れ添い、新鮮でより安い日替わりバーゲンの食品を求めて東奔西走し、日々のやりくりを天職の如くこなしておられる。

 「欲深き者は迷い多く、欲少なき者は幸多い」ことを、無言のうちに教えてくれる女房殿が、まさしく「賢者の贈物」である。

 生涯変わることのない尊敬と愛情をここに誓って、誕生日を祝福するものである。
                                                 
 ー平成○○年 十二月二十五日 女房殿 五十歳の誕生日を祝福して謹書ー


 このエッセーから、十七年の歳月が流れたが、二度目のパイロット万年筆も家計簿とともに健在である。
 そして、現在も相変わらず、ポイントが溜まり、10円でも安い品物を求めて東奔西走しておられる。

 よろこひもかなしみともにすこしたり いくせいそうをふたりおいゆく   柳條子

 女房殿の生誕と健康を心から祝福し、ブログアップ2338回目の記念特集とする。



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2007 Mario


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