書画・骨董

郎廷極と郎窯

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00 a 郎廷極 清代御窯廠歷任督陶官





 郎廷極

由康熙四十四年至康熙五十一年 (1705-1712) 任江西巡撫,兼督造官窯。巡撫乃「巡行天下,撫民安民」,統籌地方行政、軍事、司法。巡撫乃從二品官,權力甚至大於今日之省長,郎廷極後來升官在康熙五十二年 (1713年3月10日至11月14日),奉旨接替噶禮,署理兩江總督,總管江蘇、安徽和江西三省的軍民政務,官居從一品。


00 a 郎廷極 郎窯b 大清康熙豇豆紅萊菔尊


 郎窯 ランヨウ


中国清朝の甕器。近代最も重視される品であります。
一般に郎窯というものはたいてい明代の祭紅の宝石釉というものであるようで、必ずしも郎製のみを指さないようです。
郎は郎廷極のことで康煕年代(1662I1722)に甕業を監督した官人でありますが、肆人がこれを誤って郎世寧(画家)となしました。
世寧はフランス人で画をよくし雍正・乾隆の間(1723-95)内廷に供奉した人で、造甕を監督したことはありません。
郎廷極は官は江西巡検に至り、その製甕の事実は『景徳鎮陶録』『茶余客話』などの書中にしきりにみえます。
このことから廷極が世寧でないことは明白であります。


00 a 郎廷極 郎窯a 大清康熙郎窯紅琵琶尊


この種の製品は深紅の宝石釉を主体とします。
明代宣徳(1426-35)・万暦(1573-1620)に始まり、清初になってその倣造をしました。
今のいわゆる郎窯というものは明・清を混同しています。
しかしこの誤伝はすでにー般化しており大勢に従うべきであるでしょう。
今俗に分別するところでは、深紅宝石釉の器をおおむね郎窯と呼び、紅色琉璃釉・橘皮釉の器をおおむね積紅と呼びます。
積紅には款識があるが郎窯にはないといいます。


s-DSCF0029.jpg


郎窯の製品のうちに前後の別があります。
およそ内外にみな開片があって底足に燈草旋文があるようで、その色が深紅牛血の凝ったようなものは前製のもので、後製のものにはわずかながら違いがあります。
前製のものは底がわずかに黄色で、いわゆる米湯底というもので、後製のものは口底が豆青色あるいは鎖果青をしており、いわゆる蹟果底というものであります。


00 to 桃花紅 桃花紅頻果緑刻紋太白尊


前製は釉色深紅、後製は釉色鮮紅で、ただ釉がいくぶん透亮であるようで、窯変の肉色と違っているだけであります。
またいわゆる緑郎窯というものがあるようで、その深緑葱色は麗しく愛すべきもので、満身に細砕の紋片がありますが、これは実は明代に浙江省竜泉の章生二の弟窯に倣ったものであります。

雍正・乾隆時代にも倣製があります。
思うに郎窯はわが国のいわゆる辰砂手であるようで、明の宣徳に始まり清の康煕に至って郎廷極がこれを倣造しましたが、これら明の祭紅をもすべて郎窯と称するようになりました。
またフランス人によって、サンドフープ(牛血紅)としてヨーロッパに紹介されて非常に喜ばれました。


00 to 桃花紅 大清康熙年製 江豆紅釉 柳葉瓶 h22 cm


元来銅の還元焼成によって呈する色でありますが、偶然に酸化焔のためアプルグリーン(蹟果緑)となり、あるいは紫・黒・白などの窯変もあります。


00 to 桃花紅 桃花紅頻果緑 蘋果紅(ヒンカコウ)瓶


紅色のうち桃花片はヒーチブルームの名でアメリカ人に非常に喜ぱれ、小豆色には虹豆紅があるようで、そのほか火焔青・火裏紅・茄皮紫・宝石藍などの形容があります。


00 to 桃花紅 桃花紅 peach bloom 大清康煕年製 香合 589000end


(『景徳鎮陶録』『匍雅』『飲流斎説甕』『支那骨董詳説』『匍雅集』より)



00 a 郎廷極 郎窯 牛血紅 窯変 扁壷


 郎窯 牛血紅 窯変 扁壷


宝石のような深紅、堂々とした扁壷。深紅の宝石釉の瓷器。
120×240×345  3700g
故宮保管箱入り
(乾隆時代にコレクションを乾清宮に収納するため、楠製の保存箱があつらえられたそうです。楠の薄板を布で補強した箱。軽く丈夫できわめて合理的。)


00 a 郎廷極 郎窯 牛血紅 窯変 扁壷a


現在の中国では紅釉、郎紅と呼ばれています。
日本では「辰砂」、康煕帝の時代、この辰砂が極められ、郎窯と呼ばれています。

一般に郎窯というものはたいてい明代の祭紅の宝石釉というものであるようで、必ずしも郎製のみを指さない。
郎とは、郎廷極のことで康煕年代(1662~1722)に甕業を監督した官人。

明代宣徳(1426-35)・万暦(1573-1620)に始まり、清初になってその倣造をした。これらを郎窯と呼んでいる。
明代の宝石釉(祭紅)は宋代の鈞窯の紅釉を再現しようとした物。早期炉鈞もその範疇にはいるかもしれません。
深紅宝石釉の器をおおむね郎窯と呼び、郎窯には款識がなく他の官窯物には有ります。


00 a 郎廷極 郎窯 牛血紅 窯変 扁壷d


フランス人によって、サンドフープ(牛血紅)としてヨーロッパに紹介されて非常に喜ばれた。

牛血紅:康熙~乾隆年焼かれた厚手厚釉の辰砂器、厚釉に血筋が流れるように見える。極めて濃い色。牛血紅の特徴は、燃焼時に釉薬が下に垂れ、口縁部分は白色となり、そこから次第に紅くなり、牛血紅と言われる鮮やかな真赤色を呈し、釉表には貫入が入り、高台は白磁で無款。


00 a 郎廷極 郎窯 牛血紅 窯変 扁壷b


そのほか、紅色のうち桃花片(桃花紅)はヒーチブルームの名でアメリカ人に非常に人気が有り、小豆色には虹豆紅、そのほか火焔青・火裏紅・茄皮紫・宝石藍などがあります。

紅釉器は 酸化還元など窯の操作が難しく、技量最高と言われた康煕期の陶工でも僅かに小品をを残したのみです。ここに掲載した郎紅釉器はおそらく最大級かもしれない。

この瓷器は窯変がある。康煕期には試行錯誤の過程で自然に窯変が生じ、珍重されたとのこと。次第に有る程度コントロールできるようになったらしい。

紅釉器は匣焼のため、圏足内部は閉じこまれていたため焼温度が低くなる。圏足内部の焼きあがりは紅色ではなく、やや米黄や林檎緑に呈する。肉眼ではやや黄色みを感じる。貫入が複雑に。

牛血紅は焼成時垂れてたまりやすく、上方より垂れてきた釉薬を見事に処理ている。肉眼では気付かない。底面も削っている。宝石釉を目指したため、まるで宝石。青磁と同様に、朝窓辺に置いて次第に明るくなってゆく光の中で楽しめます。


s-DSCF0030.jpg


 参考

日本では「辰砂」と呼ばれている物の仲間です。大変難易度の高い釉薬。
康煕帝時代にChineseの好きな「深紅、桃色」を極めました。発色により、鷄血紅、牛血紅、火焔紅、林檎緑、桃花紅などの名前が残ります。

現存資料は極めて少ない。
桃花紅などは層ごとに銅の含量を変えた釉薬を七層重ね、酸化還元を繰返し、複雑な操作で焼成したとのこと。釉薬の中で銅イオンが無数に漂い、えもいわれぬ神秘的な様相。製品化率は低く、小品が僅かに作られた。現存する作品もわずかです。



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