書画・骨董

口石長三翁 細工物礼讃

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 口石長三翁のこと


三川内焼の近代の名工を上げるとすれば、真っ先にこの人を選ぶ。

1911(明治44) 年~1987 (昭和62) 年
国の伝統工芸士(現代の名工・匠)細工物、透かし彫り。
皇室・外国王室への献上品などを製作。
文化勲章 勲六等瑞宝章受賞


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口石長三(ながみ)さんの作品は、親しい知人を通してご夫人だけ暮らしておられたご自宅を訪問した。
波佐見高校在任時代のこと、遺作品をビデオカメラに収録させて頂いたことがあった。
透かし彫りの達人で、香炉や巨大な五重塔には驚いた。
細工物も本物そっくりで、繊細な描写力、焼成技術に肝を潰した。


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中でも、ウマオイの折れそうな細い髭や足の白磁小品が目に焼きついている。
もう一度、観てみたいが、夫人の没後あの名品たちはどうなったのだろう。
やきものの細工物は、これまであらゆる名品を数多く観賞してきた。
中国古美術以外は、長三翁に勝るものは、日本人では未だ出逢っていない。


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モナリザの叔母の主人が製陶業の仕事柄、生前に長三翁と親しかったそうだ。
直接頂いた「雲龍陽刻紋瓢箪白磁壺」を孫たちに壊されないうちに、以前譲ってもらった。
いつ観ても溜息が出る。自宅に大切に飾っていたので、帰省して今やっと写真を撮った。
自作の漢詩の揮毫は、長崎三画人:鐵翁・逸雲を模倣して当時戯れに揮毫したものだ。
あの感動が伝わってくるので、記念として消す気にならない。


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別の収蔵品の布袋像(ねずみは子孫繁栄、米袋は福禄寿のシンボル)は、正真正銘の初期平戸焼。
知り合いの骨董屋から譲ってもらったが、純白色が美しい天草陶土が普及する以前の濁し手白釉の古い手拈り作品である。
古平戸、三川内焼は茶陶器の宮中献上品としてはじまり、白磁も呉須の絵付けも上品で高級なやきものである。
にもかかわらず、日本の古美術界ではあまり評価されていないのが不思議なくらいだ。


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ローカルな西の最果て長崎県が知名度が低いように、佐世保・三川内・波佐見が無名で都から遠すぎたのであろう。
海産物資源がゆたかで、高級魚種も豊富なのに、その存在が知られず、新幹線も未だ開通していない。
坂本龍馬が開窯した長崎・亀山焼、長与三彩は、短期間の開窯で数も少なく、目の玉が飛び出るほど高価であるのに。
細工物・淡い唐呉須の染め付け(青花)など、文人好みの完成度は備前・信楽・瀬戸など六古窯よりはるかに優れている。



 三川内焼

三川内焼(みかわちやき)は、平戸焼(ひらどやき)ともいう長崎県佐世保市で生産される陶磁器である。昭和53年(1978年)に経済産業大臣指定伝統的工芸品の認証を受けている。現在14の窯元がある。天草陶石を用いた白磁に藍色で絵付けがされた物に代表される。

豊臣秀吉が起こした朝鮮の役の際、各地の大名は秀吉の命により、朝鮮の陶工を連れ帰った(拉致してきた)。平戸藩藩主である松浦鎮信(まつらしげのぶ)も多くの陶工を連れ帰った。慶長三年(1598年)巨関(こせき)という陶工は、帰化して今村姓を名乗った後、平戸島中野村の中野窯で藩主の命により最初の窯入れをした。この中野焼が三川内焼の始まりといわれている。

同じく朝鮮から来た陶工の高麗媼は中里茂左衛門のもとに嫁いだ後、元和8年(1622年)に三川内へ移住した。また、巨関は1622年ごろ、中野村に陶土がなくなったために陶土を求め息子の今村三之丞と共に藩内を転々とし、寛永14年(1637年)、最後に行き着いたのが三川内である。その後、慶安3年(1650年)に中野村の陶工が平戸藩により三川内に移された。

白磁に呉須の染め付けが特徴。三川内焼は開窯以来、朝廷将軍家への献上品が多く、日用品から装飾品に至るまで、常に上物づくりに専念し、製品はすべて「繊維優美」と表現され、その精密さは愛好家に称賛されてきた。



 
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