忘れえぬ光景

「玉すびき岩」

 ←日本人の美意識 『陰翳礼讃』  →キセル文化
s-DSCN8905 (2)




 「玉すびき岩」


「生きること」への希望も退屈も自分の意識の奴隷が造りだすもの。

「退屈溺死救命術」を自分で編み出さなければ余生をたのしく送ることはできんとよ。



 『すびく』の触感



猪乗り(イノリ)山の湧き清水を汲みに行ったとき、85歳の元気なご老人から、なつかしい方言を聞いた。

一回り以上の先輩は、現役のお百姓さんで、湧き清水の管理人である。

棚田の最上段の所有者で美味しいお米を作り、親しくなってからは折に触れ会話が弾む。
去年は、隣組の老人が三人も亡くなり、田畑を耕す人がいなくなり淋しい、と話しておられた。イノシシ除けの電気柵も共同でできなくなるのだ。


DSCN8895.jpg


頂上に聳える赤松の白骨木にとまった鷹の写真を望遠で撮っていた時である。
あの絶壁の崖は「玉すびき岩」と名が付いていて、少年時代によく登ったそうだ。
はじめは、よく聞き取れなかったが、久々に忘れかけたなつかしい方言が脳裏に蘇った。

崖の上から谷底を見下ろすと、足がすくんで恐怖で背筋がズーンとして寒くなる。
「睾丸が縮んでフリーズする」・・まさしく言いえて妙で、この語感に感動する。
言語学者として、こんな美しい方言が消えていくのは淋しいかぎりである。


s-DSCN4362a.jpg


 寒いときに似合った佐世保弁 

すびく : (歯が)しみる 、寒風が肌を刺す、骨身にしみる、って時も「すびく」 。
真夏でもアイスば喰うと「すびく」ばい。
今朝は、底冷えがして本当に寒かった。


「今朝の、水の冷たかよ~。」
「そげん冷たかったら、歯にすびくけん(しみる から)お湯ば出してくれんね。」  
 「あんた、虫歯じゃなかとね・・・。」

 または、場合によっては、脛(すね)などが、打ち身で腫れている場合、
 歩くたびにズーンとひびくような時にも使う。
 いかにも、しみるような語感がたまらない。


 熊本弁

すびく: 寒さが身にしみる,痛む 冬,すごく寒くて芯から冷えた時に「あ~足がすびきよる!」 
古語の「けいれんを起こす」意味から生まれた。



スポンサーサイト



もくじ  3kaku_s_L.png 未分類
もくじ  3kaku_s_L.png 
もくじ  3kaku_s_L.png 愛娘 Erika
もくじ  3kaku_s_L.png やきもの
もくじ  3kaku_s_L.png 余白の人生
もくじ  3kaku_s_L.png 忘れえぬ光景
もくじ  3kaku_s_L.png 文学・芸術
もくじ  3kaku_s_L.png 雑学曼陀羅
もくじ  3kaku_s_L.png 時事評論
もくじ  3kaku_s_L.png 教育評論
もくじ  3kaku_s_L.png 書画・骨董

~ Comment ~

管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【日本人の美意識 『陰翳礼讃』 】へ
  • 【キセル文化】へ