文学・芸術

銅版画藝術の迫真力

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 銅版画藝術の迫真力



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 20170401 銅版画藝術との出逢い


戦前の古い銅版画を譲っていただいた。

父親が、戦前にオーストリアの大使館員をしていた高齢の娘さんから入手したそうだ。

江戸期の北斎・広重・歌麿・写楽の木版画が、ゴッホ・ゴーギャン・ピカソなど西欧の藝術家に影響を与えた話は周知のことだ。

日本の版画や浮世絵は見慣れているから新鮮味はあまり感じない。

今回、はじめて古い銅版画(最低でも百年以上は経過している)を賞玩して驚嘆した。


zzd 銅版画


写真技術が全く無い18世紀に、写真よりも迫真力・精巧さがあるリアルな藝術がすでに存在していたのだ。


zzd 銅版画 銅版画(彫版師不詳)1557年


欲望にまみれた資本主義経済が、戦争とともに音を立てて終焉を迎える中で、あらためて人間存在の軽さ、藝術文化、歴史の重さ、を目の当たりにした。


 ☆ ☆ ☆



この世には存在しない建築を空想すること ── それはわたしたちが、いま現在存在している世界とは別の世界を空想し、その世界にかたちをあたえることかもしれません。
そうであれば、空想の建築群とは、人間のイマジネーションと、想像力を駆使してうみだされる、もうひとつの世界〈アナザーワールド〉への入口といえるでしょう。


zzd 銅版画b


ヨーロッパのふるい版画から現代美術へ、時空をも飛びこえる〈空想の建築群〉を展示して、世界を空想の建築というかたちで、目にみえるようにしようとした人びとの歴史的な業績と言えます。


zzd Piranesi-Portrait


はるか古代ローマにおもいを馳せ、その壮麗さを銅販画によって結実させたジョバンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi 1720-78)をはじめとして、18世紀世紀末の画家たちから、現代の美術家まで── 絵画や立体、そして版画など、見るものをはるかな世界へといざなう展覧会です。


zzd ローマ/トラヤヌス帝の記念柱。ピラネージ作


ジョバンニ・バッティスタ・ピラネージ(Giovanni Battista Piranesi 1720-78)
ピラネージは、本来は建築家でしたが、実際に完成した建築は「サンタ・マリア・デル・プリオラート聖堂」ほか数点にとどまり、こんにちピラネージは銅版画作家であり、出版人として知られています。


zzd 銅版画 p_seller


写真術がまだ登場していない18世紀にあって、ピラネージの精細で正確無比な エッチングによる銅版画 は、絵画とは異なり、一定の数量を複製(印刷)できましたから、当時では驚異的なものでした。


zzd 銅版画c


その影響はひろく欧州全域にわたって、ギリシャ、古代ローマなどの建築を「銅版印刷という複製芸術」によって、ひとびとの眼前に、あたかも実際の建築をみるおもいがするまでの完成度をもって迫り、圧倒的な人気を博しました。

ピラネージは、建築を銅版という印刷版の上に、エッチング技法によって画像を刻み、銅版印刷(凹版印刷の一種)によって、ゆたかな創造の成果を実現した「建築家」であり、「銅版画家」でもありました。

 (Posted by 片塩二朗 氏)

 

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