時事評論

イタリア 「五つ星運動」

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 イタリア 「五つ星運動」


世界の政治・経済が、予測のできない混沌としたカオス状態の中で、これまでだれも着手できなかった、恥も外聞もないマフィアの親玉のような大統領(40件の犯罪行為で有罪に追い込んだ)を退陣に追い込んだ。

インターネット投票を活用して2017年度も国会議員数を増やして活躍が期待されているという、いまどき珍しく清廉で民衆の力を集結した政党だと感心した。

先の大戦で、民主政治と自由経済を目指した連合軍に惨敗を喫した、かってのファシズム国家(日・独・伊三国同盟國)が様変わりをしている。

メディアも、国内のうんざりする汚職事件よりも、こんな建設的な海外のニュースをもっと大々的に取り上げたらいいのにと思う。

万物は流転する。歴史もまたどう変わるのか誰にも予測できない。

 ☆ ☆ ☆



zzz 「アレシアのウェルキンゲトリクス」 1869年フランソワ・エーマン



 イタリア「五つ星運動」創設者が語った

 市民の政治意識変えた福島原発事故



 2016年12月20日 東京夕刊


 「既成政治家を追い出せ」と、米国のトランプ次期大統領並みに声のでかいおやじがイタリア政界をかき乱している。新興政治団体「五つ星運動」の創設者、ベッペ・グリッロ氏(68)。漫談家として鍛えた冗舌で人気を集め、今月の国民投票で憲法改正案を否決に導き、首相を辞任に追い込んだ立役者だ。「トランプ現象」を欧州に広げるかのような毒舌家はかつて「運動が飛躍したのは日本人のおかげ」と殊勝なことを語っていた。どういうことか。

 元コメディアンのグリッロ氏を強いて日本でたとえれば、参院議員や大阪府知事を務めた芸人の故・横山ノックさんのような存在。2000年代半ばから在野で政権批判を続けてきたグリッロ氏が影響力ある政治リーダーとして注目されたのは、ベルルスコーニ首相(当時)に国民がノーを突きつけた11年6月のこと。16年ぶりに成立した国民投票で、首相らが推し進める原発再開など4法を否決、イタリアが脱原発を決めた時だった。その年、グリッロ氏はローマで私にこう語った。

 「日本人が我々を救ってくれた。あなた方が犠牲になって、あの大災害に遭って、我々から核を取り去ってくれたんだ」。この年3月に起きた東日本大震災、特に東京電力福島第1原発事故がイタリア人の政治意識を変えたと言うのだ。そのころメディアが熱心に伝えていたのは、ベルルスコーニ氏の未成年女性との性的スキャンダルだったが、「そんな事にかまけてる場合か!」「あの正確無比のロボットみたいな日本人でも対応できないのに、俺たちが原発を操れるのか」という声が広まり、反ベルルスコーニ票が国民投票に集まった。

 グリッロ氏は「災害」という言葉に語気を強めこう説いた。「日本人は自然災害、イタリア人は『政治・経済災害』でひどい目に遭っている。両国民はつながり影響し合っている。強い縁があるんだ」

 こうした見方はグリッロ氏だけではなかった。00年代からローマで「ノーBデー(ベルルスコーニのいない日)」というデモを主催してきた政治活動家、ジャンフランコ・マシア氏(55)も「福島の事故が我々の抵抗運動を盛り上げた」と話していた。先日電話を入れると、イタリアでの国民投票を巡る攻防の歴史をこう語った。

「戦後は1946年の王制廃止決定に始まり、離婚、中絶の合法化など大事な問題は国民投票で決めてきた。だが、95年を最後に人々の政治的関心は薄れ、成立条件の投票率5割を超えることがなかった。11年の国民投票を成立させたのは我々自身の運動もあったが、一番の要因は福島の事故。あの事故がイタリア人の政治意識を高め、その年11月のベルルスコーニ首相退陣に至ったんです」


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 「日本のおかげで盛り上がった」というグリッロ氏の運動とはどんなものか。究極的には議会など既成の代表制民主主義を廃し、ネットでの「集合知」で国の行く末を決める「直接民主主義」を目指している。職業政治家をなくすため、国会議員の任期は最長2期まで。議員報酬も公務員並みに落とす。

 ハコ物など無駄な開発をやめ、乗り物も新幹線のように速さを競わない。非正規労働の若者を救い、国の借金体質をゼロにし、脱成長を目指す--。当初は移民排斥も唱えていたが、運動内のネット投票で反対票が上回り、排斥の公約を撤回した。運動方針の決め方も、直接民主主義なのだ。

 「僕らのやっている運動は、『もう、うんざりだ』と現状にすっかり疲れた市民に寄り添うこと。僕らはそれを(バラバラに行動する)『無秩序な革命』と呼び、既成政治とは別の道を示したい」とグリッロ氏は訴えていた。

 11年の国民投票勝利で勢いづいた運動は、13年の国会議員選で上下院とも2割台を得票し、単独政党として下院でトップに躍り出た。連立を嫌い、政権にはつかなかったが、来年に前倒しされそうな総選挙で政権を取るという予想も冗談とは言えなくなってきた。

 だが、既成政党を否定する政治集団が実際に政権を担うことへの不安は少なくない。「誰もが参加できるという感覚を巧妙に宣伝し、若者たちの不満の受け皿になっていますが、指導部があまりに非民主的です」と指摘するのは、イタリア政治が専門の伊藤武・専修大教授(45)。「ワンマン社長の非公開同族会社みたいなものです。ネット投票の予備選で候補者を決めますが、どこまで公正なのか。異論をはさむ議員は即除名され、その過程も不明です。長期政権は難しいでしょう」

 グリッロ氏と時には連携してきたマシア氏も「彼の人気は運動への支持というより、エリート政治とグローバル資本主義に対する庶民の抵抗です。彼は理想を並べるだけで(政権奪取後の)シナリオがない」と手厳しい。五つ星運動は既存の枠組みを壊すことはできても、新しい国家モデルを示せるかは未知数だ。


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 あったかもしれない日本の姿


 福島事故を機に脱原発など国民投票の威力を高めたイタリアと、自民党1強体制で原発再稼働を進める日本。道は分かれたが、「縁」があるなら、日本はイタリアから何かを学べるのか。

 ジャーナリスト、今井一さん(62)は、イタリアが政治離れの若い層を国民投票へと導いた点を評価する。「自民、民進党への嫌悪から選挙に行かない日本の若者も地方で行われる住民投票には結構行くんです。今回のイタリアの国民投票は衆愚政治の始まりという論評がメディアで目立ちますが、知識層がどれだけ不満でも、扇動者がどれだけ怪しくても、主権者が決するのが民主主義なんです。過去の東京都知事や大阪府知事選もみなそう。イタリアは原発などさまざまなテーマで実施していますが、日本も国民投票を制度化すべきです」

 前出の伊藤さんは五つ星運動が路上デモだけでなく、国会議員を送り込み、議会制民主主義に関与してきた点に着目し、「在野でいくらデモをしても、国会に支持勢力を送り込まなければダメだという教訓と言える」と話す。

 日本にも近い将来、グリッロ氏のような政治リーダーの下、既成政党に組み込まれない「不満の受け皿」が出てくる可能性はあるのか。今井さんは言う。「今の時代はトランプさんや(欧州連合離脱を主導した英外相の)ボリス・ジョンソンさんのように、汚いことをあえて隠さない、うさんくさい人が支持される時代です。『クリントン、きれいごと言うけど、どれだけ裏でもうけてんねん』っていう感覚ですね。うさんくささでは安倍(晋三)首相や橋下徹さんらは先を行っていたとも言えますが、庶民の不満を吸い上げる運動とは言えませんね」

 大事なのは、今の政治に行き詰まりを感じている人がいかに多いかを示し、市民主体の改革につなげることだと、マシアさんは力説する。「グリッロ氏の躍進は、行き詰まりの先に光が見えるまでの長い長い変革の序盤にすぎない」

 既成政治に風穴を開けたイタリア社会は、震災後、あったかもしれないもう一つの日本を想像させる、ある種の「鏡」と言えそうだ。



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