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誰がアディーレを業務停止に追い込んだのか

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 誰がアディーレを業務停止に追い込んだのか

 懲戒請求者も驚愕、重すぎる「業務停止2カ月」



 東洋経済オンライン

 20171015配信 10月11日、東京弁護士会はアディーレへの懲戒処分を発表
 


 お笑いコンビ・ブラックマヨネーズのテレビCMでお馴染みの弁護士事務所・弁護士法人アディーレ法律事務所が、10月11日、所属する東京弁護士会から2カ月の業務停止処分を受けた。

 同時に同事務所の創設者で、元代表の石丸幸人弁護士も個人で業務停止処分を受けており、期間は弁護士法人よりも長い3カ月となった。


 過払い金返還請求の受注で急拡大


 アディーレは185人の弁護士を抱える大規模な法律事務所で、創設は2004年。所属弁護士数では、514人の西村あさひ法律事務所、395人のアンダーソン・毛利・友常法律事務所、375人の長島・大野・常松法律事務所、368人の森・濱田松本法律事務所、362人のTMI法律事務所という5大事務所に次ぐ国内6位(所属弁護士数は10月13日時点)。

 だが、扱う業務は5大事務所が大企業対象中心なのに対して、アディーレは基本的に個人を対象にしている。テレビCMやコールセンターで集客し、消費者金融会社等から払いすぎた金利を取り返す、いわゆる過払い金返還請求事件を大量に受任することで、急拡大した。

 アディーレは全国77カ所に支店がある。所属弁護士も、経験年数10年以上は石丸弁護士を含めてわずか5人。2012年暮れ以降に弁護士登録をした、経験年数5年未満の若手が全体の7割以上を占める。就職難に喘ぐ新人弁護士たちの受け皿にもなった、過払いバブルの申し子ともいうべき事務所だ。

 今回、東京弁護士会が公表した処分理由は景品表示法違反。常時着手金を全額返還するキャンペーンを行っていたのに、事務所のウェブサイト上では1カ月間の期間限定と謳っていたというもの。2016年2月、消費者庁から措置命令を受けており、これを理由に弁護士会として下したのが今回の処分だ。

 弁護士法人以外に石丸弁護士個人も処分の対象になったのは、上記違法行為が石丸弁護士の指示によるものだったためだ。

 公認会計士や税理士などとは異なり、弁護士は国家資格者でありながら、その職業団体である日本弁護士連合会(以下、日弁連)には、権力から独立した自治権が与えられている。このため、資格に係わる処分権限を握っているのは監督官庁ではなく弁護士会だ。

 弁護士は事務所開設地の弁護士会に所属することが義務付けられている。弁護士会は全国47都道府県のうち東京都に3、北海道に4、それ以外の45府県に1ずつ、合計52あり、それらを束ねる組織が日弁連である。


 懲戒請求は誰でもできる


 弁護士法56条には、弁護士と弁護士法人が弁護士法や所属弁護士会、日弁連の会則に違反したり、所属弁護士会の秩序・信用を害したり、品位を失うべき非行があった場合、懲戒を受ける、ということが規定されている。

 懲戒は誰でも請求することができ、手順としてはまず懲戒してほしい弁護士や弁護士法人の所属弁護士会に申立をする。申立を受けた弁護士会は、その弁護士会に所属する弁護士で構成される綱紀委員会を開き、審査すべきかどうかを検討する。

 審査すべきという結論に達したら、今度は懲戒委員会を開き、処分の有無及びその内容を決める。この懲戒委員会の委員も、その弁護士会所属の弁護士だ。審査対象の弁護士、懲戒請求者双方から事情を聴取し、現実の裁判さながらに書面で主張と反論を繰り返すので、結果が出るまでにかなりの時間を要する。

 懲戒の種類は4つあり、最も軽いのが戒告(口頭注意)である。次が2年以内の業務停止で、期間は数日の場合もあれば、まるまる2年の場合もある。次が退会命令。弁護士は弁護士会に所属しないと業務を行えないので、所属弁護士会から退会命令が出れば、事実上廃業を余儀なくされる。

 弁護士という身分は失うが、弁護士となる資格は失わないので、他の弁護士会が登録を許可すれば弁護士としての活動を継続できる。ただ、基本的に退会処分を受けた弁護士を受け入れる弁護士会は存在しない。

 そして最も重いのが除名処分だ。退会命令との違いは、弁護士となる資格も処分から3年間は失う点にある。法的には3年経過すれば再登録が可能になるが、除名の実績を知っていて登録を許す弁護士会はまずない。

 アディーレ急成長のエンジンとなった過払い返還請求訴訟が、訴えさえすれば100%勝訴する訴訟になったのは、2006年1月の最高裁判決以降だ。この最高裁判決は裁判所が突如、方針転換をして出したかのような報道もされているが、事実は全く違う。

 多重債務者の救済活動を展開していた、いわゆる人権派のクレサラ弁護士(クレジットローン、サラリーマン金融専門の弁護士)が全国レベルで連携を図り、長年にわたって多くの判決を積み上げた結果、勝ち取った判決だ。

 誤解を恐れずに言うならば、アディーレはクレサラ弁護士の努力が生んだ成果物を、機動力で一網打尽に取り込んだ、いわばクレサラ弁護士の天敵である。


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 懲戒請求者は天敵クレサラ弁護士ではない


 事実かどうかは異論のあるところだが、「多重債務者には過払い請求と同時に債務整理も進め、取り返した過払い金で生活再建を図るところまで寄り添うべきなのに、アディーレはおいしいところだけやって、手間暇がかかる債務整理や生活再建には無関心」という批判の声もクレサラ弁護士からは出ていた。

 それなら今回アディーレの懲戒請求を行ったのは、天敵のクレサラ弁護士かというとそうでもない。多重債務とは無縁の「弁護士自治を考える会」(以下、考える会)という任意団体のメンバーだ。この団体の活動目的は、ひとことで言えば「不届きな弁護士をとっちめる」ことにある。

 日弁連は弁護士の懲戒に関するデータベースを一般にはもちろん、弁護士にすら公開していない。懲戒の事実は機関誌の『自由と正義』に掲載された後、官報に公告されるのみ。これから仕事を依頼しようとしている弁護士に、懲戒歴があるかどうかを調べたくても、検索可能なデータベースを日弁連は提供していない。

 そこで、考える会の主催者が一念発起、1977年以降の『自由と正義』から懲戒情報を一件ずつ拾って入力し、検索システム「弁護士懲戒処分検索センター」を構築、誰にでも無料で利用できるようにした。

 懲戒情報は弁護士こそ欲しがる。法廷で対峙する相手方弁護士の懲戒情報を収集できる唯一のツールなので、利用者の大半は弁護士だ。

 考える会は常時、問題を起こした弁護士の懲戒請求も積極的に行っている。「弁護士会は身内に甘く、懲戒処分を自ら行おうとはしない」(考える会の主催者)からだ。たとえばインサイダー取引で課徴金納付命令を受けた弁護士の懲戒も同会メンバーが申立てている。「法律家が法律に違反したのに、罰金を払ったら従前通り弁護士活動ができるなんておかしい」(同)。

 今回の懲戒請求もその活動の一環で、アディーレが支店登録している全ての地域の弁護士会に、アディーレと所属弁護士個人全員に対する懲戒請求を行った。

 だが、「大半が門前払いだったし、もともと戒告が出れば上出来だと思っていたのに、東京弁護士会が突然重い処分を下したのでびっくりした」(考える会の主催者)という。

 今回の処分は軽い方から2つめのものだが、一番軽い処分と2番目の落差は大きい。業務停止は期間がたとえ1日であろうと、顧問契約は一度解除しなければならない。業務停止期間が明けたときに元の顧問先が再度契約してくれればいいが、そうでなければ処分前と処分後では事務所の経営状態が大きく変わってしまう。

 処分次第では弁護士生命を奪いかねないだけに、慎重にならざるを得ないからこそ時間もかかるわけだが、それが弁護士は身内に甘いという批判を招いているのも事実だ。


 懲戒請求者も驚いた重い処分

 アディーレも進行中の案件全ての委任契約を解除しなければならないはずで、2カ月もの間の業務停止は事務所経営に深刻なダメージを与えかねない。

 各種報道によれば、処分決定当日アディーレは「事実は認めるが、行為と処分の均衡を欠くので、日弁連に審査請求を出す」、つまり処分が重すぎる点に異議を唱える声明を出したらしい。

 各弁護士会が決めた処分に不服がある場合、日弁連に審査請求をすることは制度上可能だが、多くの場合、結果が出るまでに相当な時間がかかるので、業務停止期間中に結論が出る可能性は限りなくゼロに等しい。

 「万が一結果がひっくり返った場合、名誉を回復できるだけでなく、弁護士会に損害賠償請求をすることも可能になるので、全く無意味ではない」(弁護士会活動に詳しいベテラン弁護士)そうだが、それで経営上のダメージが回避できるわけではないだろう。

 そしてアディーレに事件処理を依頼していた依頼者にも混乱が生じている。既にアディーレはウェブサイトを閉鎖、電話にも出ないため、東京弁護士会が設置した電話相談窓口には依頼者からの問い合わせが殺到していることを全国紙が報じている。

 「石丸弁護士以外の弁護士には懲戒は下りていないので、弁護士法人として受けた業務をいったん解約し、個人で受任しなおすことは可能」(前出のベテラン弁護士)だというが、この方法を使うのかどうかは不明だ。

 アディーレは書面で対応する方針らしく、依頼者に書面が届くまでのタイムラグで混乱が生じている可能性もある。ただ、依頼者に罪はないのだからもう少し混乱を未然に防ぐ方法が何かなかったのだろうかと思う。

 所属弁護士、そしてこの事務所への就職が内定していたであろう新人たちにも影響は及びかねない。

 それにしてもなぜ、今回は懲戒請求者も想定していなかった重い処分が出たのか。前出の弁護士会活動に詳しいベテラン弁護士は、「弁護士会内の政治的な力学が働いたという説も耳にするが、実際は違うと思う。違法広告を戒告程度で済ませたら、消費契約法や景表法等の消費者保護の問題を弁護士会が軽視していると言われかねない」と見る。

 懲戒請求を門前払いした弁護士会、審査をしながら懲戒不相当とした弁護士会は、東京弁護士会の結論をどう見ているのか。ちなみに、札幌、愛知県、兵庫県の3弁護士会は、未だに結論を出していない。


t コイワカガミ  


 イシコロモノローグ

いずれにせよ、この業務停止事件で、経験豊かな弁護士と未熟な弁護士、金儲け主体の悪徳弁護士と良心的弁護士の格付けが加速するだろう。
大企業専属弁護士の作為的な集団いじめ作戦ではないか? といささか気にはなるが。

そうなればクライアント(依頼者)にとっては、まんざら悪いことではない。
これも増え続ける弁護士業への自然浄化作用と言えるのかもしれない。
シャーデンフロイデ! 悪徳弁護士さんよ!!




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