雑学曼陀羅

自然が一番の友達 少年時代の思い出

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yyy 清流 イワナ




 自然が一番の友達 

 少年時代の思い出




yyy 清流 イワナ 源流のイワナは、エサが少ないので蛇まで食べてしまう



 子供時代の思い出といえば、近所のお兄さんに連れられて、魚取りに行ったことも再々でした。ある日のこと、何時もの川へ行くのかと思ったら、反対に山の方へ連れて行かれました。何故だかお兄さんは声を潜め、身を低くして草むらを進んで行きます。
訳がわからずついて行くと、そこはため池の様な場所でした。

お兄さんは、そこで鯉の稚魚を数匹アミですくい上げると、何匹かを私にくれました。

金色や銀色、錦鯉などがいて、とても綺麗でした。私は喜んで家の池にそれを放したものです。しかし、数日後、上級生から「お前、山口さんちの鯉を盗んだのか?」と聞かれ、訳がわからず否定しました。事はそれで済んだのですが、後になってお兄さんの様子が変だったのを思い出し、私は青くなったものです。


yyy 清流 イワナ 蛇のラブシーン


 祖母の家の横手と裏手には、自然の湧き水が作る小さな流れがありました。水道など在りませんでしたから、生活に使う一切の水はその湧水で賄っていました。

その流れを辿って行くと、大きな桂の古木の下から湧き出す清浄な泉がありました。周囲は木々に囲まれて少し薄暗く、しかし木漏れ日がキラキラと水面に光るそんな場所でした。
そこから流れ下った清水は祖母の家の横と裏で二つに別れ、横の流れは池へ、もう一方は更に下へと続いていました。

 池は日本庭園の池とは違い、そこで洗濯したり野菜を洗ったりする生活の為の池です。池には手造りの水門があり、そこから常に水が流れ出ています。流れの傍らには山葵やフキなどが沢山自生していました。

私は魚を釣って行くと、裏手の流れに放します。そこは水の流れを堰き止めて、祖母が造ってくれた小さなダムでした。尤も大雨が降れば、アッサリと堰は破れ、そこに放した魚も一緒に流されてしまう程度の貧弱なものでした。

 流れの中には色々な水生昆虫がおり、ヤゴや小さなエビの仲間?などが沢山生息していました。時にはご飯の中にボイルされて赤くなったエビみたいなものが入っている事もありました。

雨が降る度に流れてしまうその裏手の流れの池に、私が釣ってきた岩魚が数匹放流してありました。私の手から直にエサを食べるようになった岩魚たちは、ある秋の日に二匹でペアになり水底をヒレで掘り始めました。

二匹は尾ビレで砂を巻き上げる動作を繰り返しています。何度も何度も同じ場所を根気よく、掘り返す動作が数日続きました。私はそれを、裏の窓から飽きもせずに眺めていたものです。それが産卵だったとは、その時は知る由もなく、子供の私は何時も石の間に潜んでいて姿を見せない岩魚が泳いでいる様子を見られるだけで幸せでした。



yyy 清流 イワナ1


 秋には裏山に生えている栗の木がたわわに実を付け、即席ダムには栗の実やイガが沢山落ちていました。祖母と夢中で拾ったものですが、年々に実が小さく成っていく事が子供には不思議でした。

山里の秋は短く、木の葉が色付くと冬はもうすぐそこに迫っていました。積雪が多い時には二階から出入りする事もありました。夏から秋に掛けて、私は冬の薪の準備に追われたものです。祖母が貰ったり拾ったりした木材を、鋸で適当な長さに切り、ナタや斧を使って割ります。それを家の縁側に積み上げて保管し、冬の燃料にするのです。


ok ササグリ02[2]


 祖母の家には囲炉裏があり、その囲炉裏にブリキの薪ストーブが据えてありました。秋になると町から帰って来た父が、家の周囲の雪囲いをします。冬篭りの準備です。

厳しい冬が来ても、子供の私には少しも苦でありませんでした。一夜にして腰の辺りまで積もる事もしばしばでしたが、そんな時は祖母がスコップで道を作りながら下の道まで先導してくれたものです。下の道に出れば、そこは除雪車が走っていて、道は除雪されていました。

冬の最大の楽しみは、二日間つづけて晴れた時にやって来ます。前日に溶けた雪の表面が凍って、子供の体重なら楽に支えられるくらいに硬くなります。そんな時は道を無視して、山の急斜面や田畑の緩い斜面を力いっぱいに走ります。
朝日にキラキラと輝くのは、砂糖の粗目みたいに凍ってザラザラになった雪です。私は急な坂を駆け下り、小さな起伏を飛び越え、小川を飛び越え、田畑の上を走りました。

その爽快で楽しいことと言ったらもう最高です。
その凍った雪も、お日様が高く昇ると、また溶けて柔らかくなり子供でも歩けなくなります。晴天の朝のささやかで、でもこの上なく楽しいあの経験は、大人に成った今ではもう二度と出来ない、子供だけの特権だったのです。



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