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雑学曼陀羅

「我が大草原の母」

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「我が大草原の母」




 「我が大草原の母」


久しぶりに感動する映画を観た。

1960年代初頭、中国で深刻な飢饉が発生する。中央政府は、上海の3千人の孤児を内蒙古に送る。

家族と共につましく暮らす女性・其其格瑪(チチグマ)は、夫の反対を押し切り珍珍(ジェンジェン)という女児と雨生(ユーション)という男児を養子として引き取り、錫林格勒草原(シリンゴル草原)にちなみそれぞれを錫林高娃(シリンゴラ)、錫林夫(シリンフ)と名付け、大切に育てる。

母の大きな愛に包まれて子どもたちはモンゴル遊牧民としてたくましく育っていく。

20年の月日が流れ、ふたりとも立派に成長したある日、其其格瑪(チチグマ)は、養女・錫林高娃の実母が生きていて娘に会いたがっている事を知る。

彼女は悩みながらも、生みの親に返すのが大自然の掟と悟り、錫林高娃を実母に引き会わせ、生まれ故郷の上海に送り出す。シリンゴラはそのまま上海に暮らす。

しばらくして錫林夫の両親も生きていることが分かり、上海に送り出すが、生みの親には丁重に断りを言って、年老いていく母が一人暮らす大草原へ戻っていく。

母親チチグマ役を演じるナーレンホアの演技と心理描写が印象的だった。

都市文明、ハイテク文明にどっぷり浸かり、本来の人間性を喪失した我々の眼からみたら、モンゴルの大草原に暮らす遊牧民の生活は、大自然に抱かれ、ものの考え方も純粋で雄大である。

残念ながら、現代人が散佚してしまったものを取り戻し、昔に遡ることはできないが、ほんのしばらくの間、現実を離れてなつかしいユトーピア空間を彷徨える秀作だった。

内モンゴルから来た留学生のふるさと紹介を付記しておく。




 僕の故郷 -自然がいっぱいの美しい空と大草原-

 スーホの白い馬

僕は中国の内モンゴルにある美しい草原、「スーホの白い馬」のふるさともいわれるシリンゴル草原から参りました。モンゴルと言えば「モンゴ ル相撲が一番ですか」と日本人の皆さんによく聞かれます。しかし、それだけではありません。モンゴルの代表的なものは、360度見渡す限りの大草原、馬、 ゲル、羊肉、馬乳酒、スーテーチェイ(モンゴルのお茶)などなどたくさんあります。

 自然

大草原はモンゴル民族の母だと言われて、昔から遊牧民が大事にして来ました。大草原には650種類以上の草と花や植物があります。夏の季節になると緑の大 地にいろんな美しい花が咲き、青い空と一体となる素晴らしい景色になります。また地平線にある雲まで見えるほど空気が澄み切って、まるで天国を思わせると ても綺麗なところです。これは遊牧民にとっては、とても豊かな生活環境になっております。

 住まい

ゲルはモンゴル遊牧民が住む家です。ゲルの特徴は、木とフエルトで出来た組み立て式の移動住居です。組み立てが簡単で、移動するのにも軽くて持ち安く、雨 や台風のような風にも強い円形の形になっています。大きさは家族構成や必要に応じていろいろあります。中に入ると明るく天井が高く、まるで見渡す限りの大 草原の中にいるような落ち着いた気持ちになります。

 

モンゴルでは主食は肉ですが、羊の場合が多いです。羊を横に寝かせて果物ナイフに似た大きさのナイフで、胸のあたりに小さな切込みを入れ、手を突っ込み心臓の血管を指でひきちぎります。一滴の血も外にこぼさず、胸腔に溜めます。大地に血を流すのはタブー、という昔からの言い伝えがあります。

手とナイフで皮 を剥ぎ、内臓と血液をそれぞれ洗面器状の入れ物に移します。始めてから大体35分で解体は終りますが、捨てるところはほとんど何もない、と言っても言いすぎじゃないと思います。解体された肉に付いた骨を、折らず・切らず・関節に従って解体し大鍋で煮込みます。味付けは塩のみです。また保存用として干肉を作ることもあります。モンゴルの日常生活で食べる主食はこの羊肉です。

 

馬を駆って遊牧に生きるモンゴル民族の馬への思いは友達みたいです。馬は騎馬民族モンゴルの誇りです。「モンゴル人は馬上で育つ」と言い、「モンゴル人の足は四本」と言ったりします。そんなことわざを生む世界、馬とモンゴル人の生活は切っても切り離すことはで きません。

モンゴル人はどこへ出かけるにも、まるで下駄でも引っ掛けるような気安さで馬に乗ります。それは今も昔も少しも変わらない風景です。昔、馬はモンゴルの家畜の中でも実質的価値のほかに、社会的地位を象徴的に表す性質を、強く持った家畜として考えられてきました。そこで駿馬に跨り草原を自由に疾駆することは、モンゴルの牧畜民にとっての最大の誇りとなります。

 吉 雅図 (中国内モンゴル出身 神戸大学大学院自然科学研究科)





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~ Comment ~

私も大好きです 

私もこの映画を何度も見ているのですが、そのたびに泣いてます。ちなみにこの映画で述べられている1960年の自然災害とは全くの嘘で、検閲を逃れるのが目的でしょう。毛沢東が始めた「大躍進」運動が原因の大飢饉です。同じように「文化大革命」も同じです。毛は自分の政敵をあぶりだすためだけにこれらの運動をおこしました。しかも自分の主治医に「中国には12億の人民がいるから6千万位死んでも構わない」と言い放っています。それらのことを思い合せると余計に悲しい物語だと思います。是非 主治医だった李志スイさんの「毛沢東の私生活」をお読みくださることをお勧めします。
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